映画「100日間生きたワニ」を見た正直な感想

賛否両論というか、ぶっちゃけ否定的なレビューが多めな感じの、映画「100日間生きたワニ」。まあ、それ自体は意外じゃない。

Twitterでの原作終了直後からの怒涛の収益化ラッシュ。あれでヘイトが高まって炎上したのは紛れもない事実。

その炎上によって、作品に対してとりあえずディスっておけばいいみたいな空気ができているからだ。作品の良し悪しに関わらずディスられる運命だったと思う。

Twitterで「100ワニ 感想」と入れて検索すると出てくるのが

・懲役60分
・見てて苦痛
・紙芝居
・期待以上の虚無
・同じ金額でゴジラVSコングが見られる

など、マジにボロクソである。でも、最初から「100ワニは糞」みたいなフィルター越しに映画を見た人もいるだろうし、粗探しして叩くために見た人もいるんじゃないか。Twitter民とか特に。

マジで見ずに叩いている人だっているだろうし、逆に過剰に擁護してる信者もいることだろう。ネットはいつだってそんなものだ。じゃあ実際のところはどうだったのか?

僕個人の正直な感想を、なるべく公正な視点から述べていこうと思う。ちなみにこの記事は、某ウェブメディア(ヱヴァとかハサウェイも書いたいつもの所)に寄稿したもののボツになったやつの、ディレクターズカット版だ。

 

言われてるほど酷くない

アマプラで☆3~3.5の映画と同じくらいのクオリティ。可も無く不可もなかった。Twitterに投稿された原作の100ワニを映画化したらこうなるよなという感じ。

もし原作の100ワニの、あのゆるい日常感が好きだとか、絵柄のファンだというなら見に行って損はしないと思う。原作の空気感と作画にはかなり忠実だ。

原作を読みながら、ワニに死んでほしくないと思ったタイプの人も楽しめると思う。あるいはキャラクターの声を担当している声優が好きだという方も、そういう楽しみ方だってイイと思う。普通に映画として整えるべきところは整っているので。

しかし、例えば原作の100ワニの連載を追いかけていた際に気になっていたのがワニの死因だったり、あるいはワニが死ぬことそのものを何よりも楽しみにしていたタイプの人にとっては、映画にチケット代ほどの価値を見出せないと思う。

全然普通に緩い日常系感動ドラマといった仕上がりなのだ。そういうのが見たい方はきっと楽しめるだろうが、そうでもない方にとってはつまらないだろう。

よく出ている批判の中で、一つ明確にそれは違うんじゃねと思うのが、「紙芝居」だ。100ワニの世界観とテンポからすれば、必要十分に動いている

静止画が多いとか言う批判もあるが、動かす必要のない所が相応に静止しているというのが正しいのではないだろうか。やたらと動いていればいいというものではないだろう。

「えっ、ここで静止画なの?」みたいな違和感は皆無だった。あんなものでしょう。100ワニの絵柄にカット数求めてどうすんだよ。

 

新キャラのカエル

映画の展開として、まずはTwitterで連載されたワニが死ぬまでが割と忠実に映像化され、ワニが死んでからの100日後が描かれる。

ネズミやイヌ、ワニの彼女になった雌ワニなど、ワニと親しかったキャラたちがワニの死をきっかけに微妙に疎遠になるのだが、そこに空気を読めないハイテンションなカエルが新キャラとして登場する。

こいつの最初の絡み方は、正直言ってウザい。が、見ていくとそのウザさはそれなりに消化され、ワニと親しかったヤツらがワニの死を乗り越えてフィニッシュと綺麗にまとまっている。

これについて、ワニの後釜にカエルが入ってハッピーエンド……という見方は、ちょっとサイコすぎると思う。実際の人間関係だってそんなものだろう。割とリアルで自然な流れだと思うがね。

カエルの性格についても、KYな陽キャでパリピ感もあるため個人的には関わりたくないタイプだが、それなりに憎めない性格であることは描写からわかるし、ブッ叩かれるほどではないと思う。

ということで、なんだかんだ過剰に叩いてるのは、ウケ狙いで盛ってるんじゃないのって感じ。確かにTwitterじゃその方がバズるだろうしな。

ちなみにエンドクレジットまで見て一番驚いたのは、ワニが死ぬ原因にもなったヒヨコのCVが伊藤美来さんだったこと。

なるほどね、伊藤美来の声で鳴くヒヨコが死にそうってなったら、そりゃあ助けちゃうかもな。ワニの犠牲は無駄ではなかった。

映画の内容とは直接関係ないけど、この回での視聴者が僕1人だったのはめちゃくちゃ楽しかった。200人入る部屋を貸し切り状態ってのは中々無い。この経験だけで個人的には満足してる。